メインコンテンツへスキップ
// コラム

AI時代に、なぜPRは再び重要になっているのか

PRAI調査PRBtoB
// INDEX
  1. 今、企業に求められる「AIに取り上げられる」ためのPR
  2. 1. PRが再び脚光を集めている背景
  3. 1-1. オウンドメディア以降、PRは一度下火になった
  4. 1-2. AI Overviewが検索で答えを返し、ゼロクリックを強めた
  5. 1-3. だから今、PRが再び重要になっている
  6. 2. AI時代に有効なPRの条件は何か
  7. 2-1. 根拠が明確であること
  8. 2-2. 論点が明確であること
  9. 2-3. 外部で参照されやすく、残りやすいこと
  10. 3. AI時代に適する一つの方法は、調査PR
  11. 3-1. 調査は、根拠を持たせやすい
  12. 3-2. 調査は、論点を明確にしやすい
  13. 3-3. 調査は、外部で引用されやすく、残りやすい
  14. 3-4. PRに使えるのは、「戦略的に設計された調査」である
  15. 3-5. メディア時代に強かった理由が、AI時代にもそのまま通じる

**今、企業に求められる「AIに取り上げられる」ためのPR**

かつてPRは、メディアに取り上げられることを通じて、企業やサービスを広く知ってもらうための重要な活動でした。しかしその後、自社サイトやオウンドメディア、SNSなどを使って企業が直接発信できるようになり、PRの重要性は相対的に見えにくくなっていきます。

ところが今、その前提が変わり始めています。AI Overview や ChatGPT search など、AIが情報収集の入口になることで、これまでのように検索経由で自社メディアへ呼び込み、リード獲得につなげるやり方が以前ほど機能しにくくなっているからです。その結果、企業が自社で何を発信するかだけでなく、外部でどう語られ、AIにどう取り上げられるかが、これまで以上に重要になっています。 長文ですが、色々考えていたので整理も兼ねて記事にします。

本稿ではまず、なぜPRが再び見直され始めているのかを整理します。そのうえで、AI時代に有効なPRの条件を確認し、最後に、なぜ調査PRがその条件を満たしやすいのかを見ていきます。

**1. PRが再び脚光を集めている背景**

**1-1. オウンドメディア以降、PRは一度下火になった**

かつてPRは、メディアに取り上げられることを通じて、企業やサービスを広く知ってもらうための活動として重視されていました。ところが、企業が自社サイト、オウンドメディア、SNS、メールなどを使って自ら発信できるようになると、その位置づけは変わります。企業は、以前よりも外部メディアを介さずに情報を届けやすくなり、「まずは自社で伝えればよい」という考え方が強まりました。

そこに重なったのが、記事風広告やネイティブ広告の広がりです。米連邦取引委員会は、周囲の編集コンテンツに溶け込む広告について、消費者が広告だと分かるように明示しなければならないと示しています[1]。日本でも消費者庁は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングを景品表示法違反の対象にしています[2]。

これは裏を返せば、広告と第三者的な情報の見分けがつきにくい表現が広がってきたということです。こうなると、企業から見ても受け手から見ても、「わざわざ第三者のメディアに取り上げられる意味」や「PRならではの役割」が見えにくくなります。その結果、PRは相対的に下火になっていきました。

**1-2. AI Overviewが検索で答えを返し、ゼロクリックを強めた**

この状況を変えたのが、LLMを使った検索体験の広がりです。Googleは、AI Overviewsを200超の国と地域、40超の言語に広げ、AI Overviewsが表示される種類の検索では、米国とインドで利用が10%以上増えたと公表しています[3]。OpenAIもChatGPT searchを、関連するウェブソースへのリンク付きで答える検索体験として提供しています[4]。

ここで起きている変化は、単に検索画面が変わったことではありません。検索結果をクリックして記事を読みに行く前に、AIがその場で要点を返し、検索ニーズを満たしてしまうことです。その結果として、外部サイトをクリックせずに検索が終わる、いわゆるゼロクリックが増えています。少し古いですが、SparkToroとDatosの2024年分析では、Google検索のうち米国では58.5%、EUでは59.7%が外部サイトへのクリックなしで終わっていました[5]。

さらにAhrefsの分析では、AI Overviewが表示されると、検索1位ページの平均クリック率は34.5%低くなっていました[6]。これらは欧米のデータであり、日本はまた状況が異なりますが、少なくとも「検索経由で自社メディアに呼び込み、リード獲得につなげる」というこれまでのやり方が、以前ほどは機能しにくくなっていることを示しています。

**1-3. だから今、PRが再び重要になっている**

こうした変化の中で起きているのは、リード獲得の入口そのものの変化です。これまで多くの企業は、SEOやオウンドメディアを通じて検索流入を集め、そこから問い合わせや資料請求につなげてきました。しかし今は、リード獲得の入口がAI経由にも広がり始めています。Google は AI Overviews の拡大を進めており、OpenAI も外部ソースへのリンク付きで回答する検索体験を提供しています[3][4]。つまり、これからはAIに取り上げられること自体が、リード獲得の新しい入口になりつつあるということです。

AIは、第三者メディアの情報を強く参照している

では、AIに取り上げられるには何が必要なのでしょうか。ここで重要になるのが、第三者からどう評価されているかです。

実際、Muck Rack が AI ツールに引用された100万件超のリンクを分析したところ、95%が非有料メディア、89%が earned media、27%がジャーナリズム由来のコンテンツでした[7]。つまり、AIは企業の自社発信だけでなく、第三者メディアの記事や専門情報を強く参照しているということです。

自社発信だけでは足りず、PRが再び重要になる

AIは自社発信だけで企業を理解するのではなく、外部の記事、事例、調査、比較情報なども材料にしながら企業像を組み立てます。だからこそ、AIに取り上げられるには、自社サイトの説明だけでなく、外部に企業を説明する材料が存在している必要があります。そうした観点から見ると、これまで相対的に重要性が見えにくくなっていたPRが、第三者からの評価や外部情報を積み上げる活動として、あらためて見直され始めています。


参照一覧

[1] Federal Trade Commission, “Native Advertising: A Guide for Businesses”

https://www.ftc.gov/tips-advice/business-center/guidance/native-advertising-guide-businesses

[2] 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/

[3] Google, “AI Overviews expand to over 200 countries and territories, more than 40 languages”

https://blog.google/products/search/ai-overview-expansion-may-2025-update/

[4] OpenAI, “Introducing ChatGPT search”

https://openai.com/index/introducing-chatgpt-search/

[5] SparkToro, “2024 Zero-Click Search Study”

https://sparktoro.com/blog/2024-zero-click-search-study-for-every-1000-us-google-searches-only-374-clicks-go-to-the-open-web-in-the-eu-its-360/

[6] Ahrefs, “AI Overviews Reduce Clicks by 34.5%”

https://ahrefs.com/blog/ai-overviews-reduce-clicks/

[7] Muck Rack, “What is AI reading? Takeaways from a report on AI brand visibility”

https://muckrack.com/blog/2025/08/13/what-is-ai-reading/


**2. AI時代に有効なPRの条件は何か**

第1章では、AIがリード獲得の新しい入口になりつつあり、AIに取り上げられるには外部に企業を説明する材料が必要になることを見ました。 その前提に立つと、これからのPRで重要なのは、話題を広げることだけではありません。AIにも人にも扱われやすい情報になっているかです。ここでは、その条件を三つに整理します。Googleは役に立ち、信頼でき、人を第一に考えた情報を重視しており、OpenAIも外部ソースへのリンク付きで回答する検索体験を提供しています。

**2-1. 根拠が明確であること**

一つ目は、何を根拠にそう言えるのかが分かることです。 企業が自社の強みや価値を語ること自体は必要です。ただ、それだけでは企業の言い分にとどまりやすく、外部の人やAIがそのまま扱うには弱い場面があります。

Googleは、役に立つ信頼できる情報として、独自の情報、調査、分析があることを重視しています。また、読者が「誰が作ったのか」「どう作られたのか」「なぜ作られたのか」を理解できることも重要だと示しています[1]。OpenAI も、検索結果にソースリンクを付け、元の情報にたどれる形を取っています[2]。 つまり、AIに取り上げられやすいのは、派手な言い回しの情報ではなく、出どころや裏づけが見える情報です。

ここで言う根拠とは、数字があることだけではありません。 出典が分かること、背景が分かること、どこまでが事実でどこからが解釈かが分かること。そうした整理があるほど、情報は外部でも扱いやすくなります。 AI時代のPRでは、主張の強さよりも、主張を支える材料の明確さが問われます。

**2-2. 論点が明確であること**

二つ目は、その情報が何を伝えたいのかが、すぐに分かることです。 AIも人も、情報の断片そのものより、「結局、何が言いたいのか」を拾おうとします。そのため、テーマ、主張、意味づけが整理されていない情報は、外部でも扱いにくくなります。

Google は、人のためのコンテンツとして、独自性だけでなく、十分で、役立ち、分かりやすいことを重視しています[1]。これは裏を返せば、情報の論点が曖昧だと、理解されにくく、参照もされにくいということです。 たとえば、抽象的なブランドメッセージだけでは、何の会社で、どんな課題に強く、なぜ今その話が重要なのかが伝わりません。 一方で、テーマが一つに絞られ、主張と根拠が整理されていれば、外部の媒体や読み手も取り上げやすくなります。

AI時代に有効なPRとは、情報量を増やすことではなく、論点を外部に伝わる形で明確にすることでもあります。

**2-3. 外部で参照されやすく、残りやすいこと**

三つ目は、その情報が外部で参照されやすく、後からも使われやすいことです。 AI時代のPRでは、その場で読まれて終わる情報だけでは弱くなります。あとから引用される、比較に使われる、説明の材料として残る。そうした情報のほうが、結果としてAIにも人にも扱われやすくなります。

OpenAI は、ChatGPT search が情報源リンクを示し、元のソースにたどれる形で回答すると説明しています[2]。Google も、AI検索の時代に向けて、役立ち、信頼でき、独自性のある情報を作ることを重視しています[3]。 つまり、AIにとって扱いやすいのは、読み捨てられる情報よりも、参照先として残りやすい情報です。

ここで大事なのは、露出の件数そのものではありません。 どこかで一度触れられて終わる情報より、別の文脈でも使われる情報のほうが強いです。記事、比較、提案資料、セミナー、業界解説など、ほかの場面でも使える情報は、外部で生き残りやすくなります。 AI時代のPRでは、露出量よりも、外部で生きる情報を残せるかが重要になります。


参照一覧

[1] Google Search Central, “Creating helpful, reliable, people-first content”

https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content

[2] OpenAI, “Introducing ChatGPT search”

https://openai.com/index/introducing-chatgpt-search/

[3] Google Search Central Blog, “Succeeding in AI search”

https://developers.google.com/search/blog/2025/05/succeeding-in-ai-search


**3. AI時代に適する一つの方法は、調査PR**

**3-1. 調査は、根拠を持たせやすい**

2章で見た一つ目の条件は、根拠が明確であることでした。 この点で、調査を起点にした情報は強みがあります。企業が自社の考えをそのまま語るだけでは、どうしても「自分でそう言っている」情報に見えやすくなります。これに対して、一定の対象に対して聞いた結果があれば、「実際にこういう傾向がある」と示しやすくなります。

AI時代に扱われやすいのは、印象の強い言葉より、裏づけの見える情報と述べました。調査は、その裏づけを自社で設計しやすい手段の一つです。 参照:[1][2]

会社規模や実績に左右されず、根拠を持てる

ここで大事なのは、数字があること自体ではありません。 誰に、何を、どの条件で聞いたのかが分かり、その結果から何が言えるのかが整理されていることです。そこまでそろって初めて、調査は「ただの数」ではなく、外部でも扱いやすい根拠になります。

さらに、調査の強みは、会社規模や年数、実績の大きさに関係なく、自社で根拠を持てることにもあります。後発企業や新しいサービスであっても、調査によって市場の実態や顧客の認識を示せれば、自社の主張を裏づけやすくなります。

根拠があることで、信頼にもつながる

その結果、企業は「感覚で話している会社」ではなく、独自のデータ(事実)をもとに話している会社として見られやすくなります。 信頼は、強い言葉から生まれるのではなく、「何を根拠にそう言っているのか」が見えることで生まれやすくなります。調査が信頼につながりやすいのは、このためです。

**3-2. 調査は、論点を明確にしやすい**

2章の二つ目の条件は、論点が明確であることでした。 調査が有効なのは、この点でも同じです。調査を設計するには、「何を明らかにしたいのか」を先に決める必要があります。課題の大きさを示したいのか、認識の差を示したいのか、導入前後の変化を示したいのか。この軸が決まると、情報の論点も自然に定まります。

一文で要点を言いやすい

Google は、役立つ情報として、独自性だけでなく、内容が十分で分かりやすいことも重視しています。つまり、何の話かがすぐに分かる情報のほうが扱われやすいということです。調査は、問いの立て方次第で、何を一番伝えたいのかを一文に落としやすいという特徴があります。[1]

事実と解釈がそろって初めて、論点になる

調査は、事実と解釈を分けて整理しやすいのが強みです。 たとえば、「回答者の63%が○○と答えた」は事実です。「この結果から、○○の課題はすでに広く存在していると考えられる」は解釈です。

大事なのは、この2つがそろうことです。事実だけでは、ただの調査レポートで終わります。解釈だけでは、ただの主観に見えます。事実と解釈がそろって初めて、情報は論点になります。

調査PRが強いのは、数字を出せるからだけではありません。数字を、意味のある論点に変えやすいからです。

**3-3. 調査は、外部で引用されやすく、残りやすい**

2章の3つ目の条件は、外部で参照されやすく、残りやすいことでした。調査を起点にした情報は、この条件にも合いやすいです。理由は単純で、調査結果は引用しやすい単位を作りやすいからです。割合、差分、順位、傾向、比較。こうした形は、記事にも資料にもセミナーにも転用しやすく、外部で残りやすくなります。

外部で再利用されやすい

OpenAI は、ChatGPT search が情報源リンクを示し、元のソースへたどれる形で回答すると説明しています。Google も、AI検索時代に向けて、有用で信頼できる情報を継続的に作ることを重視しています。つまり、AIにも人にも扱われやすいのは、その場で読まれて終わる情報より、あとから参照される情報です。[2][3]

一度の発信で終わりにくい

調査結果は、一度プレスリリースで出して終わりではありません。記事化できる。営業資料にも使える。セミナーにも展開できる。比較の文脈にも入れられる。こうした再利用のしやすさがあるから、外部にも残りやすくなります。この「残りやすさ」は、メディア時代にも強みでしたが、AI時代にはなおさら意味を持ちます。

**3-4. PRに使えるのは、「戦略的に設計された調査」である**

ここで大事なのは、調査であれば何でもPRに使えるわけではないという点です。 単に数字を集めただけの調査では、外部に取り上げられる材料にはなりにくいです。PRに使える調査にするには、何を明らかにしたいのか、どんな論点で社会や顧客の実態を示したいのかを先に定めて設計することが欠かせません。

論点を先に決めるから、意味のある情報になる

たとえば、単に「利用していますか」と聞くだけでは、意味のある示唆は出にくいです。 一方で、導入状況だけでなく、導入前の課題、導入後の変化、認識の差、他社との比較といった論点まで見据えて設計すれば、調査結果は単なる数字ではなく、世の中に伝える意味のある情報になります。

調査PRの強みは、数字ではなく設計にある

つまり、調査PRの強みは「数字があること」そのものではなく、伝えるべき論点を、数字で裏づけられることにあります。 AI時代にこの視点が重要なのは、AIにも人にも扱われやすいのが、論点が整理された情報だからです。何が起きているのか。なぜそれが重要なのか。どこにギャップがあるのか。そうした点が調査設計の段階で整理されていれば、外部でも引用されやすく、AIにも取り上げられやすくなります。

**3-5. メディア時代に強かった理由が、AI時代にもそのまま通じる**

こうして見ると、調査PRがこれまでメディアに取り上げられやすかったのは、単に数字があるからではありません。論点が明確で、見出しにしやすく、社会や顧客の実態を短く伝えやすかったからです。

その強みはAI時代にもつながる

そして、その強みはAI時代にも通用します。Google が重視するのは、独自の情報、調査、分析があり、役立ち、分かりやすい情報です。OpenAI も、外部ソースを示しながら回答する設計です。つまり、これまでメディアに取り上げられやすかった情報は、AIにとっても扱いやすい情報である可能性が高いということです。[1][2]

昔の延長ではなく、いまの条件にも合っている

調査PRは、数字で示しやすく、論点を整理しやすく、外部にも引用されやすいという特徴があります。こうした特徴は、これまでメディアに扱われやすかった理由でもありました。そして今も、その性質は変わらず有効です。そのため、調査PRはAI時代のPRを考えるうえでも、相性のよい手法だと考えられます。

参照一覧

[1] Google Search Central, “Creating helpful, reliable, people-first content”

https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content

[2] OpenAI, “Introducing ChatGPT search”

https://openai.com/index/introducing-chatgpt-search/

[3] Google Search Central Blog, “Succeeding in AI search”

https://developers.google.com/search/blog/2025/05/succeeding-in-ai-search

// LET'S TALK

この記事に関するご相談、
受け付けています。

BtoB の広報・PR・マーケティング戦略について、無料でご相談いただけます。